今回のテーマ〜タイトル
ウォーキング、軽登山など「歩くこと」がブームになっている。その一方で外反母趾など足のトラブルに悩む人も増えている。トラブルの原因にも、歩くことが好きになるきっかけにもなる靴について学んでみよう。

足に合わない靴は凶器である。

「きれいな色だけど歩くと足に噛みつく靴」「おしゃれなんだけど(ヒールが高くて)履くのが怖い靴」など、まるで怪談のような靴をほとんどの女性が持っている。
 なかには「履き続ければ、これくらいきついほうがちょうど良くなる、慣れる」と言って、全く足に合っていない靴を日常的に我慢して履いている人も多い。靴に足を合わせることが半ば常識になっている、この現状をまず疑おう。
 靴とは足を保護するもの であって、痛めつけるものではないはずだ。足に合わない靴はものすごいストレスを体に与える。足の疲れやむくみだけでなく、全身の疲労、倦怠感、頭痛、高血圧、イライラ、生理不順、めまい、胃痛、食欲不振など、さまざまな症状が起きる。窮屈なハイヒールを履いていた結果、ストレスが高じて心筋梗塞で亡くなってしまう、という事態もおこりうるのだ。
 直接的に痛めつけられる足にはタコやウオノメができ、水虫が悪化し、悪名高き外反母趾、槌趾(ハンマートゥ)、陥入爪、内反小
趾、偏平足などの足の病気も発病することになる。
 とりわけ痛みを感じにくくなった糖尿病患者は、足に合わない靴を履いていたために、ちょっとした足の傷から壊疽になり、足を切断したりすることにもなりかねない。
 足に合った靴をはくこと、当たり前のようだが、いい靴を選ぶことは日々の健康から命を守るということにまで深く係わっているのだ。

小学生が外反母趾になる!?

ハイヒールを履く女性たちを悩ませる外反母趾が、小学生にも増えているというショッキングな事実がある。なぜだろうか?
 靴の専門家はその大きな原因として、足にあわない、多くは大きすぎる靴、そしてフニャフニャのやわらかすぎる靴を上げる。
 成長期にある子供を前に
すると、どうしてもお母さんたちは洋服と同じ感覚でちょっと大きめの靴を買い与えがちだ。「すぐに大きくなるから」という経済的な理由は無視できない。しかし、ガブガブの大きな靴で動き回ると足は靴の中で前へ、前へとずれて、ちょうど女性がハイヒールを履いているときと同じ状態になってしまう。加えて、子供の足はプリンのようにやわらかく、すぐに変形してしまうために前にずれこんだあげく、クニャリと足の指が曲がることになる。やわらかすぎる靴も子供の足を守れない。
 「子供の靴こそ、ジャストサイズで選ばなければならない。できれば形の整った革靴など、素材も硬めでカチッとした靴が望ましい」と靴の専門家は語る。歩きはじめるころ、いきなり革靴というのは酷な気がするが、履き慣れると足元がしっかり固定するので歩きやすく、子供本人がその靴を好むことになるという。

EEサイズはお好き?

足に対して大きすぎる靴を履く傾向は、大人にもよくある。ハイヒールに愛着を感じる人がいる一方で、タコやウオノメにこりて足のサイズより大きい靴を、EサイズよりEEサイズ、さらには3Eサイズと少しでも幅の広い靴で足が痛くないようにと心がける人も多い。しかし、これも決して正しい靴の選択とは言えない。大きい靴というのも足に合っていない靴にほかならず、本来のリズミカルな歩行がしにくく、足に負担がかかる結果になり、疲れやすく、足の変形も助長してしまう。足のトラブルが治療の段階になっている場合などは、一時的にゆったりめの靴を履かなければならないが、常時、痛くないからEEサイズという考え方は改めよう。

外反母趾のチェックポイント

@足の親指が外側に曲がっている。
A足の親指のつけねの内側が痛い。飛び出ている。腫れている。赤くなっている。
B足の親指が2番目の指に重なっている。
C足の指のつけねの足の裏側にタコができていて痛い。
D足が指のつけねで平たくつぶれ、横に広がって見える。
E足が指のつけねで広く、先がすぼまっているので菱形に見える。
F足の小指が内側に曲がっている。
G足の小指のつけねの外側が痛い。飛び出ている。腫れている。赤くなっている。
H足の指の第2関節が曲がったまま伸びない。
I足の指の先端や第2関節の背側にタコができて、当たって痛い。

実は1〜3が外反母趾の症状で、4〜6は開張足、7、8は内反小趾、9、10は槌趾(ハンマートゥ)の症状だが、いずれも外反母趾に合併しやすい


靴選びのポイント●1 足を観察する

本当に自分に合った靴を選ぶためには、まず、今の自分の足をよく知ることだ。

●足のサイズ
 紙の上に立って鉛筆などで周囲をぐるりと囲み、その輪郭をとる。足の親指が一番長い人もいれば、第2指の方が長い人もいるが、かかとから足先の一番長い所までの長さを測る。この実寸に0・5cmを足した数字が靴のサイズだ。
 次に親指のつけ根から小指のつけ根あたり、足の幅が一番広いところの周囲を測る。先程の一番長い所と同じ数字になるのが標準的な足の形である。もし、長さより周囲の方が短ければ、細長いイタリアの靴などが似合う華奢な足と言える。
逆に長さより周囲の方が大きい場合はいわゆる幅広甲高、EEサイズなどが合う足だ。

●足の指の状態
 裸足になってぴったり両足をつけて、左右の足の親指の間に60度以上の開きがある人は外反母趾だ。
 足の小指が親指方向に曲がって爪がきちんと上向きにはえておらず、なくなっているようなら外反母趾の逆の内反小趾。
 足の人差し指、中指、薬指にあたる各指にタコが出来ていたり、靴を履くたびに赤くなるようなら、足がハンマーのように曲がるハンマートゥ。

●足の裏の状態
 足の裏の親指のあたり、また足の親指と人差し指のつけ根あたりが固くなる、底マメは足が開張足になっているというサインである。健康な足には3つのアーチがある。よく知られているのが親指からかかとへのアーチ、土踏まずの存在だが、反対の小指からかかとへも目立たないがアーチが形づくられている。これらは縦のアーチだが、横にも親指から小指にかけてアーチが保たれていなければ健康な足とは言えない。
 土踏まずなど縦のアーチがなくなった偏平足、横のアーチがなくなった開張足、ともに疲れやすかったり、外反母趾になりやすかったりと問題が多い。


靴選びのポイント●2 いい靴屋を見つける

自分の足のサイズを知り、靴屋に靴を買いに行くと、
 「23cmのパンプスを下さい」
店員「はい、今年は先が尖ったタイプが流行です。履いてみてください」
 「(靴を履いてみて)これにします」
店員「ありがとうございました」
 普通、こんな感じで買ってしまうが、これではやっぱり歩くと痛いということになる場合が多い。この靴屋は靴の流行を語り、言われたサイズの靴を出してくれたが、客の足には全く関心を持っていない。
 靴を選ぶときに注意したいのは、主人公は足の方だという点だ。客の足に触れ、その特徴をしっかり見極めたうえで、もっとも適切と思われる靴を選び、足を入れてみることを勧める靴屋が理想だ。そういう靴屋に出会い仲良くなれば、いい靴を手に入れることができる。
 何も健康靴など特別な靴を扱う靴屋でなくてもいいのだ。足に触ってくれる靴屋なら有望だ。

靴選びのポイント●3 中敷を活用する

市販の靴はほとんどが大量生産の靴であり、標準的な形で作られる。当然、サイズで選んでも、それぞれの足にはぴったりこない。
 靴屋には標準的な靴の形を履く人の足に合わせていくという大切な仕事がある。外反母趾などで変形があればなおさら、その部分を特別な機械でひろげて痛くないようにしたり、変形がない健康な足に対してもぴったりフィットさせるために中敷を使って微調整を行わなければならない。
 ところが、日本の靴屋はなかなか中敷を使っての調整まではしてくれない。そこで、自分で外反母趾予防として売られている中敷、部分的なパットなどを買ってきて、いつもマメができたり、痛くなったりする部分に敷いて、履き心地を見てみることだ。厚手のフェルトなどを買って来て、適当に切ったものを靴に入れてみてもよい。靴が足に合うと心地よい感触が得られるはずだ。買ってきたばかりの靴が、履き慣れた自分の靴に近づいていく喜びを知ってほしい。

オーダーメイドはトラブル解消にならない!

ちなみに足型を取って作るオーダーなら、何の問題もないかと言えば、そうではない。
 健康な足の人なら良いが、普通の靴を履くのが苦痛というような足に問題のある人が、もし、オーダーメイドの靴を履いていたら、トラブルが深刻になり、また痛くなったりすることが考えられる。なぜなら、足には自然治癒力があり、変形などのトラブルを解消しようと体が働くのに、オーダーメイドの靴がそれを阻止してしまう可能性があるからだ。足の状態に合わせて、そして健康な足を目指して、こまめに中敷などで工夫して履く方が足の健康のためにはよいようだ。

誰でも簡単にできて、足のトラブル解消にも有効な体操を一つ紹介しよう。

足の指を1本、1本、手でグリグリと回す。これだけであるが、足の親指から小指までゆっくり各10回くらい回す。カックン、カックンという感じで回らない指も無理やり回す。これでかなり足の緊張がほぐれてくる。のみならず体調も整ってくるので、ぜひ、お風呂の中や湯上がりなどにゆっくり回してみよう。
 足で行うグーチョキパーも大変有効。これからウォーキングに出かけるという場合も、足先の準備体操としてグーチョキパーをどうぞ。
また、足裏には全身のツボがあると言われるが、ゴルフボールを足裏でコロコロしてみたり、椅子やデスクのパイプ部分に足裏を押しつけて圧迫してみたり、試してみて気持ちいい部分を見つけ、ときどき押すと疲れが取れ、体調も良くなる。
いろんな方法で足先、指、足裏などを刺激していく、動かしてみることが血の流れを改善してトラブル解消に役立つ。

※参考文献=町田英一著
『足の痛みと変形を治す本』/鈴木裕一郎著『足もみ革命』/井口傑著『外反母趾を防ぐ・治す』
※取材協力=シューズアドバイザー中村美賀子氏
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取材でドイツ製の健康靴を履いてみた。心地いい!どんどん歩けそうだ。だが、プライベートで買ったのは先のとんがった6Bヒールのブーツ。中敷を入れて言い訳のように微調整してみたが、半日、履いているのは無理だ。言うは易く行うは難し。